②中学校~コーチとしての指導者~
中学校段階での指導者は、コーチとしてコーチングをします。
ただ、初心者が多い場合はティーチングから始める必要があります。指導者が複数いれば、選手をレベル別にして指導するのが理想です。
コーチングは、対話を通して選手たちが目標を達成するためのサポートをすることです。日本では一般的に指導者のことを「コーチ」と総称していますが、本来的にはサポートが最も重要な仕事なのです。
中学生になると、思春期を迎え、自立心が高まってきます。私も経験がありますが、中学校2年生の夏頃から、大きく態度が変わります。
一生懸命だったのに無気力になる子、反抗的になる子、周囲を負の方向に巻き込もうとする子、逆に先輩としての自覚が芽生えしっかりとする子。
特に、ネガティブな方向に行ってしまった選手とは、とにかく対話が必要です。対話をすることによって、彼らのやる気や可能性を引き出すことが重要です。
一度やる気を失ってしまった選手が、対話を通じて復活した時などは、嬉しいものです。
一方で、徐々に主導権を選手たちに渡していく必要もあります。
私は、練習メニューを自分たちで考えさせ、それに対してアドバイスをするという方法をとっていました。
こうすると、選手たちは、「自分たちが組んだ練習メニューだから、しっかりやるぞ」という気持ちになるのか、準備が早くなったり、練習メニューの切り替えもお互いに声を掛け合って素早くなります。
これで試合も良い結果が生まれれば、より自信になっていくでしょう。
こういう成功体験は、必ず将来にも役立ちます。
自由にやらせるということではありません。
中学校の指導者は、選手たちに主導権を渡しつつ、しかし重要な部分は手綱を握っておく必要があります。
私は、「一生懸命やっている子が損をすることがないように」ということを信条にしていました。
チームの足を引っ張ろうとする選手には、厳しく接することもあります(なので結構怖がられてしまいます)。
そして何より、選手との対話が重要です。これによってラポールが形成され、より良い選手と指導者の関係が生まれ、チームの歯車がかみ合います。
中々根気がいりますし、時にはイライラすることもあります。怒鳴りつけたいときもあります。
しかし、そこは大人として忍耐力を持って接していきましょう。