これからの野球を考えよう

教員・野球部顧問という立場から、今後のアマチュア野球や部活動のあり方について考えていきます。また、日々精力的に頑張っている指導者の方々の指導技術が向上し、選手たちがより良い環境で野球ができるようになるよう、私の指導論も紹介します。

2020年05月

コロナの影響で、夏の甲子園も中止となりました。

メディアではどうしても甲子園ばかりが取り上げられてしまいますが、中学生の大会なども、軒並み中止となっており、頑張って練習してきた選手たちにとっては非常に残念な年となってしまいました。

コロナ自体はインフルエンザのように、時期によって消滅するわけではないそうなので、ワクチンができて全員が抗体を持つ必要があるとか。

学校も、すぐに何十人も教室にいっしょにいるという状況は難しいでしょう。また、長期の休校により生活リズムが崩れ、不登校も増えることが懸念されます。
向こう一年間、部活動やその他のスポーツ活動が元通り活発に行うことは難しいという話も出ています。
授業内容の確保のために長期休みがなくなるというのも問題です。例えば、いじめなど、様々な問題を学校で抱えている生徒が、リセットする期間が無くなります。

今までのように、スタジアムに行って何万人もの人間が盛り上がったり、ライブコンサートに行ったり・・・。そういうことも、当分難しくなるでしょう。

経済的なダメージは様々な分野に広がり、貧富の差はより拡大しそうです。

9月入学の議論も活発になるなど、コロナは社会システムを大きく変えるきっかけになっています。
会社に行って顔を合わせて仕事をする、学校に行って授業を受ける。そんな今まで当たり前だった生活は、当たり前ではなくなるのかもしれませんね。

スポーツ指導の向上とは、いかに知識と指導経験の引き出しを増やすかにかかっています。

私は、選手に指導した時に、必ず感想と感覚を聞きます。

「今の指導で何か変わった?わかりやすかった?」
「動きがすごい良くなったけど、どんな感覚?」

これらを繰り返すことによって、他の選手を指導するときも、

「この選手を指導するときはどういうアプローチがいいのだろうか?」
「こういう感覚って言う人もいるね」

など、指導の幅が広がっていきます。

http://thinkaboutbb.blog.jp/archives/23023111.html

部活動に力を入れている学校は、選手をスポーツ推薦で集め、監督は教員や事務員であっても、実質的には実績によって雇われていることが多いです。

プロスポーツ選手とプロチームの指導者は、成績を収めることで給料をもらうわけですから、勝利という結果を目指すのは当然のことです。
ヨーロッパのサッカーでは、「サッカーが嫌いになるのはプロになってから」なんて言われます。プロになってから初めて勝利を強制されるようになるわけです。

高校や大学では、例え指導者がプロのような雇われ方をしていたとしても、選手たちは違います。しかし、指導者にとっては、成績を残さなければ職を失うことになります。

そうなると、勝利が優先されるようになってしまうのは、理屈から言えば当然です。こうなってしまうと、前回申し上げたように、監督は勝利を強制してしまうようになってしまいます
部活動に力を入れている学校ほど、指導者による暴言や体罰が発生する可能性が高くなります(表沙汰になるのは一部だけで、指導と称した暴言・体罰はたくさんあります。それを問題視しない選手や保護者にも疑問を持っています)。

でも糾弾しているように、私が部活動によって成り立つような学校は必要ないと考えるのは、以上のような理由からです。

部活動の勝利至上主義からの解放、そして学校の部活動からの解放。
これが今後の日本のスポーツを変えるうえで、非常に重要な課題となってくるでしょう。
そのためにも、まずはアマチュアの全指導者が、「勝利という麻薬」から脱却しなければなりません。


さて、私はよくこの「勝利」という麻薬を打たされます。

選手たちが「勝ちたい」と思い、色々と練習の工夫を提案すると、こっちの冷静な意思とは関係なく、そこそこ勝ってしまうわけです。

「やめろ!俺は麻薬なんて打ちたくないんだ!あの気持ち良さを思いださせないでくれ!」
と思っても、無理やり打たされるわけです(これだけ読むと検閲に引っかかりそう・・・)。

そうこうしているうちに、選手たちに引き込まれていき、どれだけ勝とうが、どこで負けようが、最後は選手の涙にもらい泣きしてしまうわけです。

「ああ、あそこでこうしていれば勝てたかも・・・」

もう完全に中毒者状態です。

代が変わると、選手にとってははた迷惑な話しですが、私は薬抜きのために一度距離を置きます。
そして、リセット出来たら、再び選手を見守る立場に戻るのです。

私は弱い人間ですから、ここまで徹底しなければ、球児の時から、知らぬ間に身にしみこんでしまった勝利至上主義から抜け出すことができないのです。

指導者が「勝利」を目指した時、それは多かれ少なかれ、選手への「勝利の強制」につながります。
マナーやルールを守らせたりするという強制ではありません。
「勝利の強制」は、指導者の冷静さを失わせ、体罰や暴言につながる可能性が非常に高いからです。

③へ続く・・・

さて、コロナで休校中、部活動はもちろんないので、子どもも指導者もなかなか運動もできません。
なぜか、縄跳びがものすごく売れているとか。確かに、公園で縄跳びをしている人が多い。
私も、夜中に空き地にでも行って、軽く素振りぐらいはしようかなと思っています(変質者に間違われないようにしないと・・・)。

さて、素振りと言うと、練習の最後に「素振り100本!」みたいな光景をよく見ます(私も現役時代、やらされましたが)。

個人的に、素振りは回数をこなしてもあまり意味がないと思うので、私が思う素振りをする際の3つのポイントを紹介します。
是非、子どもたちにも教えてあげてください。

①試合を想定し、しっかりと投手を見て、タイミングをとろう
素振りをしている子どもを見ると、下を見てしまったり、下半身の動きが疎かになっている選手が多いです。これでは、試合で使えるスイングは手に入りません。下を見てしまうと、スイングはダウンスイングの軌道になってしまいますし、下半身が使えなければ、強い打球は打てません。
一球一球、試合を想定し、投手を見て、タイミングを合わせてスイングしましょう。
youtubeなどで、プロ野球の試合の音声を流しながら、世界に入り込んでイメージして行うのもおすすめです。

②素振りは20回、一回一回試合での本気のスイングで
野球は持久力のスポーツではなく、一瞬で力を爆発させることが重要です。そうなると、素振り100本とか、1000本というのは、意味がありません。
例えば、試合で4打席立つとして、1打席でスイングする数は、3~4回あれば多い方でしょう。
そうなると、1試合では、4×4=16回全力でスイングできれば良いわけです。
それより少し回数を増やして、20回のスイングを、1回1回自分のベストのスイングで全力で行えば良いと思います。
恐らく、筋肉の疲労は、100回やったよりもあると思います。

③動画を撮ろう
最近では、学校で一人一台タブレットが配られたり、子どもでもスマホを持っていることが多いです。
三脚を使ったり、イスに置いたり、家族に協力してもらったりして、その日の20スイングを録画しましょう。
そして、終わった後、お風呂から上がってストレッチをしながら、自分のスイングを冷静にゆっくり見直しましょう。「明日はこうしてみよう、こういう意識を持ってみよう」と、自分で考え工夫することによって、どんどんイメージは動きへと変わっていきます。
誰かのまねをするだけだったり、言われたとおりにする選手よりも、自分で考えて試行錯誤する選手の方が、遠回りに見えて、最も成長します。

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