これからの野球を考えよう

教員・野球部顧問という立場から、今後のアマチュア野球や部活動のあり方について考えていきます。また、日々精力的に頑張っている指導者の方々の指導技術が向上し、選手たちがより良い環境で野球ができるようになるよう、私の指導論も紹介します。

2020年11月

野球の普及・振興へ まず裾野の指導者意識改革から BFJ第1歩
https://article.auone.jp/detail/1/6/10/8_10_r_20201113_1605233193024524

部員数

ここ10年で、野球人口は激減しており、各方面で今後の野球界を危惧したり、野球人口の増加を目指す動きがあります。
しかし、私はそこまで今の野球人口の減少は問題視していません。重要なのは、その後です。

そもそも、野球人口の減少は、スポーツが多様化したり、少子化によって子ども一人当たりにかける費用が増加している昨今では、驚くべきことではありません。
野球が名実ともに国民的スポーツであり、Jリーグなどもなかった平成はじめぐらいまで、多くの子どもが競技を選ぶうえで、必然的に野球は選択肢に入っていたわけですから、野球人口が多いのは当然です。
子どもの数は決まっていますから、様々なスポーツに触れる機会が増え、またITの進化などによってインドアの遊びが多様化している現在では、子どもが野球だけに集中するわけがありません。

中学野球人口(硬式・軟式合わせて)に関して言えば、恐らくあと5年ほどで、10万~15万ほどに落ち着くのではないかと思います。
つまり、それがスポーツ多様化時代の現代において、野球人口の適正数ということなのではと考えています。


そこで重要なのは、最初に言ったように、10万~15万ほどに落ち着いたその後、その適正数を維持できるかどうか、ということです。

最初にあげた記事にも出ているように、まずは指導者の資格義務化が必須でしょう(BFJは「チームで一人」と言っていますが、全員に義務づけるべきです)。
資格を取るには、それなりの時間と労力が必要です。つまり、必然的に意識の低い指導者は淘汰されます。
そして、地方に限らず、首都圏であっても人数が足りずに満足に試合ができないチーム・学校もあります。もう、学校単位などではなく、地域単位で1チーム12人くらいに均等に選手を分配し、全員がきめ細かい指導を受けて上達し、楽しく試合に出られるような仕組みづくりも重要です。

このブログでは何度も申し上げていますが、指導者の質や子どもの変化など、不確定要素の多いものを考えても仕方なく、システムそのものを改善していく必要があります。


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私のチームでは、以下のようなものを作っています。

ランダウンプレーの掟 七カ条
一 3対1の状況を作るべし
二 守備側はインフィールド (ラインの内側)でプレーせよ
三 投げるタイミングは受け手の「スロー!」の声
四 なるべく前の塁に追い込むべし (三本間だったら 3 塁近くでアウトにする)
五 ランナーが複数いる場合は先頭のランナーに集中せよ
六 受け手はベース上で待ち、投げ手が投げる瞬間に前にダッシュして勢いをつけて捕球する
七 最低限、元の状況に戻せばよい

○○の掟、という形で、箇条書きにすることで、選手に何が重要なのかということを意識させています(「掟」なんて今の時代あまり使わないので、子どもたちにとっては何か面白いものなので、覚えてくれます)。

それでは、ランダウンプレーの最後は、実際にランナーをつけて行います

1人はランナー、3人は守備側で実戦です。まず、守備は2人と1人に分かれ、2人側がボールを持ち、ランナーは2~4mほどベースから離れて、守備側が追いかけ始めてスタートです(ランナーの位置は足の速さなどで変えましょう)。あとは、先ほどの練習を活かしてランナーをアウトにします。


ランダウンプレー④

2チームに分けてゲーム形式でやると、守備側もランナーも一生懸命なので、お互いのスキルアップにつながります。

ボールのパスが3回以内にアウトにできれば守備側の勝ち、守備側がエラーしたり、ランナーが逃げ切ったり、パス3回以内でアウトにできなければランナーの勝ちです(大体パスを4回以上するほど時間がかかると、後ろのランナーが進塁してしまいます)。
アウトをたくさんとったチームの勝利になります。

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小学生や中学生で非常に混乱するプレーが、ランダウンプレー(挟殺プレー)です。



鬼ごっこ状態になってアウトを取るのに時間がかかったり、暴投などでセーフにしてしまったり、学童・少年野球ではよく見る光景ではないでしょうか。

しかし、ランダウンプレーは次に紹介する4段階の方法で1時間も練習すれば、きっちりアウトが取れるようになります。

①走りながら投げる練習
意外とできていないのが、走りながら投げるという動作です。
画像のように、一人10球くらい練習してみましょう。
ランダウンプレー①


②走りながらボールを捕る
次に、ランダウンプレーで素早くアウトにするには、ベース上で待ち、捕球側が「スロー!」の声で前に出て走りながら捕球し、その勢いでランナーにタッチに行くという技術が必要になります。
これも10球ぐらいやりましょう。
ランダウンプレー②


③選手同士で走って投げる・走って捕るを繰り返す
ボールを見せながら走る⇒捕球側が「スロー!」の声と同時に走り出す⇒走りながら送球⇒走りながら捕球
これを繰り返します。
ランダウンプレー③

まず、この3種類を行えば、ランダウンプレーに必要な技術は身につきます。
次回は、実際にランナーをつけた練習にうつります。

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ゴロ捕りで形が身についたら、実際にポジションについてノックを行います。
私の場合、中学生までは様々なポジションを守らせるべきであるという考えなので、ノックも短時間で効率よく内野の全ポジションを守らせます。

この段階でのノックは、質よりも量です。各ポジションに選手がついて行うノックだと、時間の割に一人一人がノックを受ける量も少なく、効率が悪いです。

そこで、私がよくやっているのがローテーションノックです。
やり方は以下の通りです。

①サード、ファースト、キャッチャーに均等に人数を分ける。
②サードゴロ⇒一塁送球⇒本塁送球でタッチプレー
③3~5球ノックを受けたら、ショートへ移動
④3~5球ノックを受けたら、セカンドへ移動
⑤3~5球ノックを受けたら、ファーストへ移動
⑥3~5球ノックを受けたら、ピッチャーへ移動
というように回していきます。バント処理や、ファーストとピッチャーのベースカバープレーなども入れていきます。

ローテーションノック


効率的かつ短時間で内野の全ポジションをこなすことができ、連携練習も行えます。また、各選手の守備における苦手分野(ゴロ捕り、送球、タッチプレーなど)がわかりますので、個別練習の目安にもなります。

人数にもよりますが、20人弱であれば、スムーズにできるようになれば15分ぐらいで終わります。内外野連携などに入る前のアップ代わりに行うこともあります。

今回は教育的な話しです。

幼い時、人間は失敗体験を繰り返して「何をしてはいけないのか?どういう状況が危険なのか?」などということを感覚的に学習していきます。
私たちも、色々な経験をして、大人たちからその都度教えられ、大人になっていったはずです。
例えば
・火遊びをして親にものすごく怒られた⇒火遊びをしてはいけない
・大人への挨拶や礼儀がキチンとしてなくて指導された⇒目上の人に敬意を持つ
・友達に悪口を言ってケンカしてしまった⇒相手を嫌な気持にはさせない
・転んで痛い思いをした⇒受け身をとる、足元に注意する
などですね。

しかしながら、2000年代頃からでしょうか。子どもを大切にするあまり、子どもが失敗や悪さをしても適切な指導を行わなかったり、叱らなかったり、そもそも子どもを危険なことから遠ざける家庭や小学校が多くなってきました。

その結果、子どもは失敗体験から学ぶ機会を失い、中学校になっても、小学生のような幼い言動、失敗や悪さを行動をとる生徒が増加してきました(いわゆる「小学7年生」ですね)。
また、保護者も友達感覚で子どもと接する人が多くなったせいか、挨拶や敬語、目上の人に対する接し方などが身についておらず、社会に出て苦労する若者が増加してきました(実際、私もそういう若者を目にします)。

教員生活の中でも、ここ10年ほどで、「え!?」と驚かされたり呆れるような言動をする生徒が明らかに多くなってきました(そういう生徒は親が間違った放任主義だったり、甘やかしすぎだったりすることが多いです)。
「家でいつも嘘をつかないように言い聞かせているので、うちの子どもは嘘なんてつきません!」なんて言う保護者もいますね(そんなことで子どもが言うことを聞くなら先生は苦労しません・・・)。子どもを信じてあげることは大切ですが、盲目的ではいけません。

さて、子どもに様々な教えていくのは、とても体力を要します。ただ、家庭や学校がそれを疎かにすれば、将来「大人になってそんなこともわからないのか!」と言われて困るのは子どもたちです。
中学生になる頃には、子どもたちの人格もある程度固定化されてきますから、直していくというのは非常に難しくなってきます。

子どもを大切にするというのは、何よりも重要です。しかし、やさしくするばかりではなく、子どもたちの将来を考え、ダメなものはダメ、と伝えてあげることが、真に大切にするということでしょう。

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