これからの野球を考えよう

教員・野球部顧問という立場から、今後のアマチュア野球や部活動のあり方について考えていきます。また、日々精力的に頑張っている指導者の方々の指導技術が向上し、選手たちがより良い環境で野球ができるようになるよう、私の指導論も紹介します。

2021年03月

セーフティスクイズとは、ランナー1,3塁の状況で行うスクイズです。
「セーフティ」という名前の通り、スクイズと異なって3塁ランナーはスタートしないため、外されたとしても見逃すことができます。
ランナーが1,3塁にいることによって、一塁手はベースにつかなければならず前に出るのが遅れるので、バッターは一塁手に捕らせるように強めのバントを転がします。




守備側の動きはスクイズと同じで、バッターがバントの構えをしたら、投手・三塁手・一塁手がチャージをします。
3塁ランナーがスタートしていないため、投手が捕れるようなバントならホームでアウトにできる確率が高くなります。

打球に対する基本的な動きは以下の通りです。
⑤セーフティスクイズ


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スクイズに対する動きはシンプルです。

ランナー3塁の状況で打者がバントの構えをしたら、投手・一塁手・三塁手は一気に前にダッシュ(チャージ)をして打球処理に向かいます。二塁手はすぐにファーストベースカバーに入ります。
基本的にはホームアウトを狙いますが、間に合わない場合は1塁送球です。ほかにランナーがいる場合は進塁に気を付けましょう。
特にホームに送球してセーフになった場合、捕手は速やかにバッターランナーのアウトを狙うか、他の塁で飛び出しているランナーがいないかチェックしましょう。オールセーフになってしまうと精神的にも大打撃です。
また、ランダウンプレーも起こりやすいプレーです。


確実に一つアウトを取れるようにしましょう。

打球に対する基本的な動きは以下の通りです。


昨年は残念ながら中止となった春の選抜甲子園。
このコロナ禍でなかなか思うような活動ができなかった分、選手たちには精一杯頑張ってもらいたいですね。

ただ、一方でやはりこの問題が出ました。

今年初の公式戦マウンドで161球を投げた天理・達――高野連は球数制限だけでなく複数投手を育成する環境を整えるべき
https://news.yahoo.co.jp/articles/fbef3ae4f02775bfb7380e4ff74c350d209a6011

やはり、選手を守るという意識レベルの低い指導者が多い(海外からは児童虐待と認識されています)日本の高校野球では、連盟側が何らかの処置をとらざるを得ないのではないでしょうか。

球数制限の話が出ると「なおさら強豪校有利になる」という意見が出ますが、そもそも選手集めの段階で強豪校と一般校の差は歴然としており、なおかつ吉田輝星選手や佐々木朗希選手のようなスーパーエースが一人で投げ勝ったとしても、それは戦前の日本の爆弾三勇士神風特攻隊のような、チームの勝利のために個を犠牲にするという戦争的な考え方にほかならず、「教育的」を掲げている以上高校野球にはあってはならないことです。

しかしながら、近年はバットの進化やウエイトトレーニングの発達もあり、高校野球は圧倒的に打者有利であり、全国大会レベルで相手をおさえることのできる投手を複数人育成するのは、大阪桐蔭などのような潤沢な人材を持つチームでしかできません。

そこで、私は以下のような改革案を提案してみたいと思います。

①飛ばない金属バットの導入
アメリカでも日本と同じような問題が起こった結果、飛ばない金属バットが導入されています。
https://baseman.info/bbcor-bat
これによって打者有利の状況は改善できるでしょう。

②各都道府県大会のリーグ戦化
各都道府県はトーナメント制ではなく、大学のような年間ないしは時期を分けてのリーグ戦とする。学校数によって6チーム編成ぐらいの地区に分ける。
これによって、たとえ一人の投手に頼るチームであったとしても、その投手の負担はトーナメント制よりも間違いなく軽減されます。

③全国大会は都道府県の選抜選手で構成されたチームとする
そして、現在の高校野球が抱える最大の問題は、学校として全国大会に出場するがゆえに、部活動が学校の宣伝のための道具として使われていることです。その結果、野球に多額の資金を投入してスポーツ推薦などをとっている学校では、指導者や選手には何よりも全国大会ヘの出場=勝利が求められ、勝利至上主義におちいってしまいます。
では、全国大会を無くすべきかと言うと、それも違うと思います。やはり選手たちの晴れの舞台でもあり、プロに進みたい選手にとっては絶好のアピールの場である甲子園は残したい。
そこで、②であげたリーグ戦の中で優秀な選手を選抜、そしてセレクション(合同練習会)を実施し、20名ほどの都道府県代表チームを構成します。これはアメリカの小中学生のトラベルチームで行われている方法です。
そうなれば、エース級の投手を複数人用意することは間違いなくできますし、強豪校以外の選手でも優れた技能を持っている場合は全国大会でアピールすることが可能になります。
近年再び問題になってきている野球留学も、ある程度解消されるのではないでしょうか。

都道府県選抜チームでの全国大会は、実際他の競技では行われていますし、野球でも中学で導入している連盟もあります。
Kボールを生み出したことで有名な日本中学生野球連盟です(今はM球でやっています)。
http://www.k-ball.jp/02/

さあ、皆さんはどうでしょうか。
「いやいや、やっぱり学校対抗だから甲子園は良いのではないか」
「甲子園でチームのために何百球も投げるのは当然だ」
こういう考えの人もいることでしょう。
しかし、高校野球は教育目的で行われているのです。それならば、何よりも子どもたちの将来を第一に考えるべきでしょう。

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顧問が設けた生徒間の謝罪の場、被害生徒をさらに追い詰める 市尼崎高いじめ
https://news.goo.ne.jp/article/kobe/nation/kobe-20210318001.html

記事より抜粋
スポーツ強豪校の同校では2019年、男子バレー部や硬式野球部での体罰が発覚。今回のいじめ被害2件も17、19年に起きており、体質が問われている。第三者委は、部活動の中心選手らが所属する同校の体育科を「成績至上主義で閉鎖的」と指摘。問題が起きても内部で解決しようとし、学校が組織的に対応できない風潮があるとした。

部活顧問の不適切指導が原因か 沖縄県、高校生の死去公表
https://news.yahoo.co.jp/articles/6f48e200a7286db2f4eab3d911368096065c52f2

記事より抜粋

 県によると、男子生徒は2019年4月に「部活動特別推薦」で入学。主将になった20年7月ごろから、男性教諭に「キャプテンを辞めろ」などと再三叱責されていた。また、無料通信アプリ「LINE(ライン)」で夜中まで他の部員に連絡をさせられたり、部活動費を得るため古紙回収作業をさせられたりしていた。男子生徒は叱責された翌日の今年1月29日に遺書を残して、自ら命を絶った。
部活動特別推薦で入学した男子生徒は「活動継続確約書」の提出を求められていたため、県は男子生徒が部活動をやめたら退学になると思い、追い詰められる要因になったとしている。金城教育長は「顧問から勝利至上主義に基づき、過度のプレッシャーを与えられ、精神的に追い込まれた様子がうかがわれる」と述べ、再発防止に取り組む考えを示した。


本来は課外活動であり、生徒の自主的・自発的な活動であるはずの部活動が、学校や学業よりも優先されてしまっている。勝利至上主義的な組織になってしまうと、善悪の判断がにぶってしまいます。
・いじめが発覚したら大会に出られなくなってしまう、と隠ぺいしようとする。
・あの選手がいなくなったら勝てない、と目を瞑る。
・勝てないのは選手のせいだ、と自分の指導力不足を棚に上げて体罰や暴言を行う。
果てはそれによって生徒が命を落としたり、教員が過労により体調を崩してしまう。
部活動が現在のように過熱したのは、1960年頃からです。それまでは、競技によっては全国大会なども禁止されていて、緩やかな活動でした。
戦後の日本は軍国主義を克服し、自由で平和な国家となったはずなのに、部活動は60年前より退化しているような側面もある。

ついこの前、その競技ではとても有名な指導者と色々部活問題について立ち話をしました。その方は、何十年もその競技指導の第一人者として活躍し、暖かくも厳しい指導で生徒を育て(体罰とかではなく、猛練習という意味です)、何人ものオリンピックメダリストを輩出しています。
しかし、数年前からはそれまでと打って変わり、いつもニコニコ笑っており、とても穏やかで生徒主体の活動となりました。
漫画『SLAM DUNK』の安西先生の変貌ぶりをイメージしてもらえるとわかりやすいです。本当にあの通りです。


その方は、子どもたちの気質の変化ももちろんあるが、これからは大人が子どもたちを信じて託すことが大切なんだ。指導者は子どもたちに託すことを恐れてはいけないとおっしゃっていました。

この言葉はとても印象深く残りました。
私自身、指導者になった当初は完全に子どもたちを信じていなかったのだと思います。いや、そうではなく、自分の指導力の無さゆえに、パワーで何とかしようとした。ゆえに厳しい練習を行ったり、ルールを課して管理しようとした。
けど、たくさん勉強して指導力を上げ、余裕が出てきたことによって、選手主体の指導に切り替え、副次的に結果もついてきましたし、今は選手も私も楽しく活動できていると思います。

部活動は、本来ストレスを発散したりして、生徒も教員も楽しむ場のはず。

そろそろ「過度な」部活動はやめませんか?


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三塁手が盗塁を警戒しているので、打者は3塁側に転がすのがセオリーです。三塁手と投手の声掛け、三塁手の判断力が進塁を防ぐポイントとなります。

投手はバッターがバントの構えを見せたら、三塁側に降ります。

最初からバントの構えをしていたら、一塁手は前進守備をとり、チャージをして3塁タッチアウト・封殺を狙います。
ヒッティングの構えしていても、ベースより前に出てバントに備え、バントをした場合は一気にチャージします(ファーストは二塁手がカバー)。

最も難しいのが三塁手です。三塁手は、三塁側にバントが転がってきた場合、バント処理と三塁のベースカバーどちらかを瞬時に選択する必要があります。これができず、オールセーフになるというのはよく見る光景です。
普段の練習から、このケースでのバント処理は多く練習しておきましょう。

打球に対する基本的な動きは以下の通りです。

③1,2塁送りバント



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