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さて、長年指導者をやっていて思うことの一つとして学年の問題があります。体格の大小・実力に関係なく、学年でひとくくりにされてしまう。
特に、野球は顕著ではないでしょうか。

小学生や中学生の場合、同い年と言っても、もちろん体格や実力には差があります。
小学校6年生で中3ぐらいの体格の子もいれば、中3でも150cmで小学生ぐらいの体格の子もいます。
(かなりまれですが)小学生6年生ですでに中学最高峰レベルの実力を持っている子もいれば、中3になっても「そこら辺の小学生の方がうまいんじゃないか?」という子もいます。

体格も実力も関係なく、「中学3年生だから中学3年生のチーム」というふうになるのは、様々な問題があります。
中3だからといって、低い技術の選手が、高校生に近い技術の選手たちと練習すると、練習にはついていけないのはもちろん、試合にもなかなか出られず、最悪怪我の危険性があります。
逆に、ものすごい上手い選手が、学年が下だからといって試合に出られなかったりするのも、せっかくの才能をつぶしてしまいます(ちなみに、清原選手が天理ではなくPLを選んだ理由は、学年に関係なく実力で試合に出してもらえるという点だったそうです)。

長年見ていて、大体、高校生ぐらいになると、全員がある程度骨格も完成してきて、体格・運動能力的な差は小さくなってきます(もちろん、甲子園常連の強豪校と普通の学校、ドラフト候補選手と弱いチームの控え選手とかなら別ですが)。

小学生~中学生までの間は、学年によって区切るよりも、技術習得レベルで振り分けたほうが、まだまだ成長途上の選手も、センスがあってものすごく上手い選手も、育成環境としては良いと思います。
指導者も、上から下まで様々なレベルの選手がいると、指導が複雑化してとても大変ですし、どうしても上の選手にあわせてしまうので、下のレベルの選手たちがついていけなくなったり、反発してしまいます。また、上のレベルの選手からしても、モチベーションの差などから、技術的に低い選手と一緒にされると、正直なところストレスになる部分があります。

そこで、スイミングスクールやスキー、武道のように、学年ではなくて、「級」のような形で、技術習得レベルで分けるのが、とても参考になるのではないかと思います。
ただ、そのためには、中学の3年(実質2年)というのは、あまりにも短すぎます(中高一貫校ならば、6年という長い計画を立てて育成できます。近年の甲子園で中高一貫指導の高校が活躍している背景ですね)。
そうなると、部活単位ではなく、小学生~中学生は地域単位で活動し、レベル別にカテゴライズして活動するのが良いでしょう。
そして、各レベルの指導を得意とする指導者がつけばよくなります。「もっとうまくなって高校でも活躍したい」と思っている選手は、上のカテゴリーを目指せばいいですし、「野球は軽い運動として楽しみたい」と思うなら、そのカテゴリーに残ればよいでしょう(現に、アメリカはそういうしくみです)。
9年もあれば、基本的な運動能力の向上から、野球技術の習得までを、しっかりと計画立てて育成することができます。途中から入ってきても、着実に上手くなることができます。
また、「小学校の時はあまりスポーツくをしてなかったから、中学生になってからは野球部に入りにくい・・・」なんて思っている子も、こういうしくみなら、野球に参入しやすいのではないでしょうか。

アメリカでは10歳くらいからレベル別に振り分けられるそうですが、日本はこういったことも「差別」ととらえてしまうきらいがあります。特に、少子化により保護者が過保護になっている近年では、その傾向は強いと思います。あまりにも、「学年」や「同級生という周囲の存在」にこだわりすぎているのです。また、長期的な展望の欠如も感じます。
「そうじゃないんだよ」というのを、しっかりと選手にも保護者にも理解してもらえるよう、考えていかなければなりません。
そのためには、そういったレベル別の振り分けが、誰もがレベルアップできる、野球を楽しめるというメリットを示さなければなりません。
私は、日本の野球人口減少を食い止めるためにも、以上のようなカテゴリー別の指導体制の確立は必須だと思っています。
現在は、コロナで部活もありませんので、そういったコンテンツ作りに励んでいます。