これからの野球を考えよう

教員・野球部顧問という立場から、今後のアマチュア野球や部活動のあり方について考えていきます。また、日々精力的に頑張っている指導者の方々の指導技術が向上し、選手たちがより良い環境で野球ができるようになるよう、私の指導論も紹介します。

カテゴリ: 指導法

守備の基本、ゴロ捕りです。

ゴロを捕球するだけならそこまで難しくはありませんが、試合では送球をしてアウトを取らなければなりません。

まず、youtubeに上がっている動画がわかりやすいので、これを見て下さい。



ゴロを捕ってスムーズに送球するためには、動画で説明しているような捕球姿勢をまず獲得しなければなりません。
さらに、送球方向に対して少し膨らみながら入っていくことも重要です。


ゴロ捕り



仁志選手の動画がわかりやすいですね。

まずは、ボールを真ん中に置き、セットアップをして動き出します。
姿勢は、高すぎず、低すぎず。低くて動きやすい高さを見つけましょう。

そして、膨らむラインをラインカーなどで示して置き、そのラインに沿ってボールに入っていきます。
まずはこれで捕球姿勢を獲得しましょう。

今年は中学1年生の指導を中心に行っています。
先日の練習で、バッティングについて基礎的な部分の習得を行ったのですが、やはり、学童野球経験者ほど、「軸足を回せ」「腰を回せ」といった誤った指導を受けて、真面目にその動作を行っている選手がいます。

今年の新入生の学童野球経験者(若干名ですが)は、どちらかと言うと「学童時代の指導法が嫌だった」という選手が多いので、すんなり私の指導法を受け入れてくれたのですが、一人だけ困惑していたので、練習後30分ほど、教室でその選手と興味を持った選手5名ほどで、各自が好きなプロ野球選手の動画をスクリーンに映して分析しながら解説しました。
そうすると、その選手も軸足や腰の回転は体重移動やスイングの結果的に起こるということを理解できたみたいで、「そうだったんだ!」「じゃあ、学童でコーチに教わる前の元々の打ち方は悪くなかったんだ」という感じで納得してくれました。




スポーツセンスはそこそこ持っている選手なので、ここからの成長に期待です。

我が国の指導書からみた野球の打撃指導における指導者の着眼点
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcoaching/25/2/25_149/_pdf/-char/ja

面白い論文です。 

先日、テレビをつけてプロ野球を見ていた時に、バント処理の1塁送球がホームベース側に逸れて一塁手がファールグラウンド側に出てきたため、ランナーが一塁手を避けてインフィールドにオーバーラン(駆け抜け)をして慌てて塁に戻っているシーンがありました(何の試合かは忘れましたが)。
駆け抜け(イン)
恐らくこの選手は「かけ抜けはファールグラウンド側」という意識が強かったので、インフィールドに入ってしまって焦ったのでしょう。

1塁への駆け抜けの仕方の話は、走塁練習でよくします。これを知っていることによってセーフになる確率が上がりますし、ランナーと一塁手が交錯して大けがをすることを防ぐこともできます。
非常に重要な話なので、ご存知ない方はここで覚えてもらい、ぜひ選手に教えてあげてください。

まず、ルール上は1塁へのかけ抜けはファールグラウンド・インフィールドどちらでもOKです。
野球規則には、「ファールグラウンドにかけ抜けなさい」とは書かれていません。
駆け抜け

基本的には、ファールグラウンドへとかけ抜けるように教えます。これは言うまでもありませんが、基本的に野手はインフィールドでプレーし、走者はファールグラウンドでプレーするので、ファールグラウンドにかけ抜ければお互いのプレーに干渉することはないからです。
駆け抜け(アウト)

しかし、「かけ抜けはファールグラウンドにしよう」とだけ教えてしまうと、問題が起こります。送球が逸れたりして、一塁手がファールグラウンド側に捕球しに行く場合があるからです。最初からファールグラウンド側で捕ろうとするのは走塁妨害ですが、プレーの流れの中でファールグラウンド側に出て来た場合は走塁妨害にはなりません。
このようなプレーが起きたときに、「かけ抜けはファールグラウンド側」という思い込みがあると、次のようなことが起こります。

・一塁手とぶつからないように減速してしまい、間一髪でアウトになる。
・そのまま一塁手とぶつかってしまい、お互いに怪我をする。



以上のような話をした上で、普段、一塁へのかけ抜けの練習をする際に、指導者が一塁手としてベースにつき、時々送球が逸れたケースを想定してファールグラウンド側に捕球しに行き、ランナーがインフィールドに駆け抜けるという練習をしておけば、試合でもとっさに動けるようになります。

ただし、かけ抜けたランナーが2塁への進塁意思を見せたと審判が判断した場合、かけ抜けた後に速やかに塁に戻らなかった場合、アウトと勘違いして走塁放棄をしたとみなされた場合、守備妨害をした場合、ランナーコーチャーが肉体的援助を行った場合などは、ランナーは安全状態(と私は言っていますが、正式な言い方はあるのでしょうか・・・)では無くなり、タッチなどでアウトになりますので、注意が必要です。
このこともしっかりと選手に伝えましょう。

各大会における本塁打数の推移

甲子園でのHRは、2002年以降増加傾向にあります。その理由は何なのでしょうか。

以前、とある強豪校の4番を打っていた選手と話をした時に、この話題が出ました。
その選手が言うには増加した理由は次のような要因があるとの事。

・2001年の秋から、高野連が金属バットの重さは900g以上と規定した。
・高野連がバットを重くしたのは、バットを重くして思いっきり振れないようにして打球速度や飛距離を落とそうとしたため。
・選手たちは重いバットを振るためにウェイトトレーニングを重視して体を大きくした結果、重いバットを振り切ることによって余計に飛距離が増した。

バッティングにおけるパワーというのは、体重とバットの重さにスイングスピードが加わったものです。
よって、体重が重い選手、筋肉があってスイングスピードが速い選手のほうが、ボールを飛ばすにはより有利となります。

母校の野球部をおとずれたときは、みんな体が大きく、ベンチプレス100kgを挙げる人が10人もいるというレベルでした(なお、プロのトレーナーがいうには、ベンチプレスは野球にはあまり意味がないそうです。プロ野球選手は必要以上にしないのだとか)。
私が現役の時は、ベンチプレスを100kg挙げる人なんてチームに2,3人でしたし、甲子園に出るような選手でも体は太いというより、細身で身長が高いという感じでした。プロ野球もそうでしたね。

「○○選手が今大会で何本ホームランを打った」「××選手が150kmを投げた」
球速偏重主義は危険でも書いたように、これらの数字はその選手を評価する基準としてとても分かりやすいものです。
人間ならば、周囲から高い評価を受けたいと思うものです。その結果、球速偏重、パワー偏重の高校野球につながっているのではないでしょうか。
その結果、細かい技術が見落とされ、野球が単調になったり、最悪怪我にもつながりかねません。

球速偏重やパワー偏重は、確かに高校野球を勝ち抜くためには有効な方法なのでしょう。しかし、その後の長い野球人生、大学や社会人、そしてプロを目指すうえで、果たして有益なのでしょうか。
バットの問題なども含めて、指導者たちが考えていかなければなりません。

参考記事
歴史的不作にスカウトはガックリ。 スピード、パワー偏重の野球に喝!
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190819-00868850-sportiva-base

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