これからの野球を考えよう

教員・野球部顧問という立場から、今後のアマチュア野球や部活動のあり方について考えていきます。また、日々精力的に頑張っている指導者の方々の指導技術が向上し、選手たちがより良い環境で野球ができるようになるよう、私の指導論も紹介します。

カテゴリ:初心者育成法 > バッティングフォーム作り

構えから割れの状態に移る時にステップをするわけですが、ステップには大まかに①足を上げる方法と②すり足(ノーステップ)があります。

基本的に体重移動のしやすさ、間の取りやすさなどから、足を上げる方が良いです。ただ、足を上げたときに体がふらついてしまうような筋力的に劣る選手は最初はすり足でもいいでしょう。

足が着地した時に多いのは、歩幅が広すぎる選手です。
歩幅が広すぎても、狭すぎても、スイングに向かうときの内転筋の体重移動がスムーズにいかなくなります。また、目線のブレにもつながります。
http://thinkaboutbb.blog.jp/archives/20886187.html
「割れ」への移行でも書いた通り、パワーポジションが一つの基準になり、そこから選手の感覚で多少広くなります。
日本ハムの中田選手(2011年)や、オリックスのT岡田選手(2010年)、ロッテの角中選手などがノーステップで有名ですが、あれは最初からパワーポジションをとっているような感じです。







さて、少し話がずれましたが、足を上げたときに大切なのは、目線が上下しないことと、後ろ脚の股関節(内転筋)に体重を乗せ(意識し)ステップして前に出たときに上半身が突っ込まないようにすることです。
「踏み込み足をさし出すように」とか「お尻から」とか、いろいろな感覚はあると思いますが、後ろ脚の股関節(内転筋)に体重を乗せる(意識する)ことが一番重要だと思います。

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これは下半身の筋力が要求されますから、四股踏みや、ステップで足を上げ後ろ脚の股関節に体重が乗った状態で1分間キープさせるなど、筋力トレーニングをしましょう。
 
次に踏み込み足の降ろし方ですが、中学生などをよく見ていると、上げた足をまっすぐ降ろしている選手が多く見受けられます。



しかし、プロの一流打者を見てみましょう。
実際は、地面ギリギリのところでスウェーするように降ろしていくのです。
足をそのまま降ろす感覚が「1・2・3」
だったら、
スウェーして降ろしていくのは「1・2~~~の3」
という感じです。
2~~~の
のところで間をとってタイミングを計っていくのです。
よく、速い球を投げる投手に対して「始動を早くしろ」という指示が出ますが、これは「1・2~~~の3」の1の部分、つまり足を上げる部分を早くして、2~~~のをしっかりとるという意味です。

しかし、このスウェーして降ろしていくのは結構下半身、特に股関節周りの内転筋などの筋力が必要となります。練習時に普段から四股などのトレーニングを取り入れたり、足を上げた状態でキープをするなど、筋力強化を図って安定性を獲得していきましょう。


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さて、バッティングにおける下半身の使い方として、昔から、言われていたことは次のようなものです。
「腰を回せ」
「軸足の母指球で回れ」
「軸足を回せ」
まず、この考え方を捨てましょう。

これから解説していきますが、私は指導するときに「軸足」という言葉を使わず、「後ろ足」「前足」という言葉を使います。
「軸足」という言葉は、どうしても回転をイメージしてしまうからです。

次の動画を見て下さい。



現在は大阪桐蔭高校で活躍する関戸選手の小学生時代です。後ろ足に注目してください。
前方に移動していますが、回転はしていませんね。
バットは上半身の回転でスイングされていくので、「軸足を回せ」という指導でスイングは良くならないどころか、この大切な体重移動が失われます(下半身が回転しなくても上半身(正確にはわき腹から上)は180度回ります)。



イチロー選手も同じですね。

「腰を回せ」「軸足を回せ」という下半身の使い方では、体重移動はできず、このような動きは絶対に起こりません。打ち終わりの形も、プロ野球選手とは違うものになっているはずです。
バッティングの下半身の使い方において大切なのは、前足を上げて後ろ足に乗った体重を、前足が着地したら一気に前方に移動し、ボールに向かって全体重をぶつけるということです。

「腰を回せ」「軸足を回せ」という指導では、後ろ足から前足への体重移動がしっかり行われないどころか、小学生など、まだ骨が出来上がっていない選手は、腰椎分離症の危険性が高まります。

腰や後ろ足の回転は、体重移動をしてスイングが行われる際に「結果的」に起こるものです。結果的に起こるものですから、その動作を重視すると、間違った使い方になってしまいます。



内川選手の外角打ちの映像を見て下さい。打つ瞬間軸足は回っていません(打ち終わった後は、力を開放するため、流れで回ります)が、これだけ強い打球が打てています。
つまり、バッティングにおける下半身の使い方というのは、①後ろ足から前足への体重移動→②体重移動の勢いとバットの重さによる全身の回転、であると考えています。

なお、後ろ足が前方に移動するのも、体重移動によってあくまで結果的に起こるものですので、たまに「後ろ足を前方に移動させればいい」と勘違いする選手がいるので、注意してください。



落合博満選手のフォームです。
体重移動は完ぺきに行われていますが、後ろ足は前に移動しようとはしていますが、最初の位置のままです。
後ろ足が前方に移動するかどうかは、あくまでその人の体の使い方の一つです。最も大事なのは前足への体重移動なので、この動作は重要ではありません。

それでは、実際にどのように体を使えばいいのでしょうか?
以下の絵は私のイメージです(下手ですみません)。

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後ろ足の内転筋を前足にぶつけた瞬間に、前足の内転筋も締めて壁をつくるというのが私の感覚です。バッティングにおける壁と言うと、上体が突っ込まないように、肩―腰のラインで捉えている人も多いと思いますが、私は前足の内転筋で壁をつくるものだと考えています。

この下半身の使い方によって、全体重を前方(ボール)に対してぶつけることができます。そして、その勢いで、前回話した、「腰が回る」「軸足が回る」「後ろ足が前方に移動する」という動きが、結果的に起こるのだと考えています。
「前足の内転筋も締める」というのがなかなか難しくて、指導していると、やはり前足の内転筋の締めが弱くて下半身が流れてしまったり、上体が突っ込んでしまう選手が多くいます。ここの感覚をつかむと、鋭いスイングと打球がみられるようになり、なによりも、打ち損じが明らかに減るんですね。
それだけ、体が安定しやすいということです。

色々と解説してきましたが、バッティングは感覚的な部分が大きいので、下手に指導すべきではありません。医師免許を持たない人に手術させるようなものです。
本当は正しい使い方ができていたのに、「腰を回せ」「軸足の母指球で回れ」「軸足を回せ」などの指導が行われた結果、逆に下手になってしまった、ということは、恐らく何万とあると思います。
私が書いていることも、あくまで私が理解している範疇を文章化しているだけなので、実際に指導する際の感覚とは異なることがあるかもしれません。
あまり細かく指導せず、子どもの感覚を大切にしてあげてください。

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脚(踏み込み足)が着地してバットを振りだす直前のバットの位置をトップと言います。


top


プロ野球選手には様々な構え方の選手がいますが、誰でもトップはバットのグリップがほぼ肩と同じ高さにあることがわかります。トップの位置はどんな構え方の選手でも共通なのです。

前回のレベルスイングの軌道にスムーズに持っていくためには、このトップの位置が重要になります。トップの位置からインサイドアウトでボールに対して最短でバットを出していくことになります。

トップの位置の作り方はいろいろな方法があるのですが、一番簡単な方法は「逆再生」です。

1.まず、選手にベルトの高さでミートポイント(一番ボールを捉えたい場所)にバットを置かせる(置きティーなどで位置を明確にするとわかりやすい)。
2.選手に脱力させ、指導者がバットのヘッドを持ち、スッとトップの位置に持ってくる。
3.選手にその位置を覚えさせる。

つまり、ミートポイントに対して最もスムーズに出るよう、逆再生でトップの位置を教えます。

この際注意しなければならないのは、肩などの上体がキャッチャー方向に入りすぎないようにすることです。
よく昔のバッティング指導書などには、「肩を入れる」だとか「へそを捕手方向に向けて開きをおさえる」とか書いてありますが、あれは間違いです。
もちろん、動作の中で上体は少しひねる形になりますが、大事なのは肩甲骨です。

日本ハムの田中賢介選手ですが、TANAKAの最後のAがずっと見えています。




広島の鈴木誠也選手。肩甲骨から腕・バットまでがまっすぐ一本につながっています。
足を上げてトップの位置を作った後、腕だけが置いていかれるような感じが分かるでしょうか。
よく、「あごを肩に乗せろ」みたいなアドバイスがありますが、あれも誤解を招くような表現だと思います。正確には、肩甲骨を動かしてあごの下まで肩が動いてくるのではないかと思います。



トップの位置は、教えたときはみんな問題なくできるのですが、実際にTバッティングなどをさせてみると、多くの場合肩のラインよりも下に下がってしまいます。そうなると、アッパースイングになってしまうので、Tバッティングのような山なりのボールは打てますが(と言ってもこすったような打球になりますが)、実戦では全く使えません。




長嶋茂雄さんが「フォームはどうでもいい」なんて言ったのは有名な話しですが、タイミングとトップの位置がしっかりできていれば、ある程度は打てるんじゃないかなと、草野球をやってて個人的に思います(レベルにもよるでしょうが)。


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バットの持ち方です。
バットを握ったとき、下側の手(右打者なら左手)をボトムハンド、上側の手(右打者なら右手)をトップハンドと呼びます。

ボトムハンドとトップハンドはくっつけるわけですが、バットを持つ指で大事なのは小指・薬指・中指でしっかりと持つことです。
人差し指と親指を使わずにバットを立てて持ち、ヘッドを倒したり起こしたりして安定させられるか確認しましょう。

人差し指と親指に関しては、あまり重要ではなく、握り方も3種類あります。

①両手ともすべての指を握る持ち方。

ochiai

②ボトムハンドの人差し指を浮かしておく握り方

okada


③両手とも人差し指を浮かしておく握り方

yamada


どれが正解というわけでもありませんので、選手の感覚的に気に入ったものを選んでもらいましょう。


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